スペック劣る新築マンション増加中

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンション評価サービスを毎日欠かすことなく続けていると、トレンドが自然と分かるのですが、最近強く感じることのひとつは「スペックが良くない」物件が多いという点です。

言い換えると、マンション企画が進化ではなく後退しているのです。

主な変化を取り上げてみましょう。

一番目立つのは、 「二重床でなく直貼り」にした物件の増加です。統計を取っているわけではないので、どのくらいの割合かを語ることはできませんが、着実に増えています。


次に、住戸形状が極めてシンプルになった という点です。

羊羹を切ったシンプルな長方形のマンションが多いのは、今に始まったわけではありませんが、それでも細部ではより快適な間取りをつくろうとデベロッパー各社は努力をしてきました。

ところが、最近はまるで30年前に戻ったようなものも登場しているのです。

外廊下式のマンションで多い一般的な長方形の間取り図を思い浮かべてみて下さい。玄関側の短辺部分にアルコーブという窪みを設けるので、普通なら凹の形になるのですが、これを止めて直線のままにした、完全長方形も出て来ました。

玄関ドアの位置が窪んだ位置にないというのは、ドアを90度まで開けると外廊下を半分ふさぐ格好となるわけで、廊下を子供が走るとドアに衝突する危険があります。

廊下幅を広く取ってあれば、その危険はないわけですが、それにしてもアルコーブがない玄関は「のっぺりした無表情の家」になるので、好ましいものではありません。


三番目は、窓なし個室の増加です。昔はこれを行燈部屋と言って嫌い、リビングに接する和室以外は決してつくらないのが業界の常識のようになっていました。

最近、これがやたらと多いのです。その印象はどこから来るかというと、どうやらタワー型マンションの増加と関係があるようです。タワー型でも、外廊下式と内廊下式があり、窓なし個室は後者の場合です。

窓なし個室は扉を引き戸にし、全開することでバルコニー側から光を取り入れるのですが、この部屋をどう使うかは悩ましいものです。営業マンは、「窓なしの方が落ち着きますよ。書斎とか趣味のお部屋にどうでしょう」などと言い訳しますが、あまり納得感のない話です。

これは後退ということではなく、内廊下型マンションの増加によるものではあるのですが・・・。



設備的な後退も見られます。4番目は、標準化しつつあった設備を削ぎ落としたマンションが増えたという点です。

断熱性に優れた複層ガラスのサッシや食器洗浄乾燥機は定番でしたが、その不採用例も結構見られますし、トイレ内のお洒落な手洗いカウンターのないタイプ、すなわち水槽の上部に手洗い水栓を設けた昔の型に戻った例も増えています。

物件によって差はあるものの、「あれもない。これも付かない」という「ないない尽くし」の設備で平然と(?)売り出して来る例が目立つのです。


また、フローリング材も一時は増えかけた「突板」や「挽き板」という天然木を薄くスライスして張り付けた風合いのあるものが殆ど姿を消してしまい、8000万円、9000万円の高額マンションですら「オレフィンシート」という印刷した合成樹脂を張ったタイプ(シートフローリング) が採用されているのです。

100戸を超える比較的大型の物件では、当たり前にあった共用施設。それがない物件も増えている感じがします。ロビーを少し広めにして一角を「オーナーズラウンジ」としている程度です。

また、以前なら2基設置したであろうエレベーターの数を1基にした物件、エアコンの室外機を視線から半分隠すようにした花台のない廊下、言い換えれば外廊下にむき出しのまま置けと言っているような無配慮な設計なども後退現象と言えましょう。


例を挙げるとキリがないのでこのくらいにしますが、進化でなく退歩しているマンション設計は、全てコストカットが理由です。 建築費の上昇が背景にあるためなのです。

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スペックが後退していない物件は、駅前の物件、都心の物件など、立地条件の良い物件、若しくは数百戸の大規模物件に限られます。これらは高くなっても売れるからです。

郊外の物件、駅から距離のある物件は高額では売りにくいのです。新規の供給が細っており、品薄感が強くなっているせいもあって販売は比較的好調に推移していますが、どんな物件でも売れてしまうほど熱狂的な市場ではありません。

買い手は慎重に品定めをしようとしています。従って、価格が高ければ販売は難しくなります。売主は苦心惨憺し、苦渋の選択の中からスペックを落とすのです。

それでも2割も3割もコストダウンできるわけではないのですが、1住戸あたりにすれば売値が100万円、200万円と違ってくるので、本意ではないがと言い聞かせながら一段下のスペックにして送り出すというわけです。

高額な物件を見慣れている顧客も多いので、見学時に落胆させてはいけないと考え、売主はモデルルームを多数のオプションで見映えよく飾るものです。しかし、冷静にチェックすれば、スペックの低さに気付くことでしょう。


大事なことは、スペックの低さを妥協できるかどうかにあります。

何年か住んでリフォームするときにグレードアップできるものならいいですが、ディスポーザーやバルコニーの水栓のように後付けが不可能な設備もありますし、直床を二重床に変えることも極めて難しいことです。

また、マンション選びの優先順位が立地条件だとするなら、こればかりは動かしようのない項目です。

こうした点を勘案しながら、マンション選びは慎重にしなければなりません。今とても難しい時期です。


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買いにくさ増す2015年のマンション市場

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新築マンションの値上がりに続き、中古も価格の上昇が顕著になっているようです。

価格上昇だけでなく品薄感も強まっています。


●中古の価格上昇

新築マンションのあまりに急な値上がりに嫌気して、中古へ目を向ける人が増えるのは自然の流れです。

通常、新築が値上りすると、少し遅れて中古が値上りに転じるのですが、新築の値上がりが急ピッチだったせいで、ときを置かずに中古も上がり出したという印象を受ける近頃です。

新築マンションは、底値だった2011年~2012年を100とすると2013年は108に急騰(首都圏)、2014年も110と高値が続きました。2015年も新築は1~3月までの数値を見ると上昇トレンドが続いているようです。

この動向が中古マンションにも影響を与えています。

東京カンテイ社のまとめによれば、2015年1~3月の23区の価格は前年同期比で8%上昇しました。

月別の推移を調べてみると、東京都全体では9か月連続で前月同月比プラスを続けています。

中古マンションに限ると、価格上昇は埼玉県・千葉県など周辺部にはまだ及んでいないようですが、早晩波及して行くことは間違いないでしょう。神奈川県では兆しが表れ始めています。

データは割愛しますが、価格が上がっても新築から見れば中古マンションが安いのは確かです。

しかし、当然ながら、物件固有の条件によって中古も新築並みか、新築以上の価格になっているものが少なくありません。

 築年数、駅までの距離、環境、ブランド、広さ、向き、眺望など幾多の条件を、より高いレベルで求めれば安くないということになるのですが、一定の割り切りをすれば、高くなりつつある中古の中から探し当てることは可能です。

しかし、それすらも遠ざかる傾向にあることに注意しなければなりません。


●新築の品薄感

首都圏の新築マンションの発売戸数は、昨年44,913戸でした。これは過去最高だった2000年の95,635戸から見れば半分以下でした。

最近5年間を見ても、2013年:56,478戸、2012年:45,602戸、2011年:44,499戸、2010年:44,535戸でした。2010年~2014年の平均は47,205戸です。

それ以前は、2009年が36,376戸、2008年43,733戸、2007年61,021戸、2006年74,463戸、2005年84,148戸、5年平均59,948戸でした。

2008年に起きたリーマンショック後の世界金融危機で落ち込んだ2年間を外してみれば、3年間(2005年~2007年)の平均は、73,211戸でした。

結局、2008年以降の7年間、ずっと低迷しているということになります。

2015年1~3月の合計は8,734戸で、これは前年同期(9,118戸)の▲4.2%となっています。つまり、今年も復調の兆しは今のところ見えて来ないと言えます。

この品薄感は、真剣に新築マンション探しをしている人にとって厳しい状況にあると言わざるを得ないのです。



●中古の品薄感

しからば、中古の流通戸数はどうでしょうか? 中古マンションの在庫は毎月末3~4万戸(首都圏全体の合計)あるのですが、これは新築マンションの5,000戸前後に比べると高水準です。

しかし、これは言うまでもなく築浅の物件から築40年の老朽化マンションまでを合計しています。 一般に、買い手は少しでも新しい物を望む傾向が強いため築浅の在庫は非常に少ないのが実態です。最も多いのは、築20年前後の物件です。

築年数だけではなく、駅近で都心へのアクセスが良い沿線、人気の街・駅といった立地条件に優れた物件は買い手が直ぐに決まってしまう傾向が強く、このため在庫は少ないのが常です。

そこに最近は売り惜しみの傾向が見られるというのです。所有者がさらなる価格上昇を期待して売却を手控えていると多くの仲介業者は分析しています。

今年1~3月の流通戸数は24,809戸に減っていると調査データは語っています。平常時の6~7割といったレベルです。

新築に比べて数が多い中古ですが、中身は玉石混淆ですから、欲しい物件に当たる確率はもともと高くないうえ、流通戸数(売り出し戸数)が減ってしまうと買いにくさが一段と増して来そうです。

「マイホーム探しは宝探し」というくらいに難しくなって来ました。


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マンション選びの法則12か条

★マンション選びの法則 12か条

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記事は、過去に様々な角度で書いて来た、マンションの資産価値について一度整理しておこうと思い立ってまとめたものです。

読者諸氏のマンション選びに役立てば幸甚です。


1)「高い物は高く、安い物はより安く」の法則

「安く買えば、それだけお得になる」この一見正しそうな論理は反対の結果になることがあるのです。


言うまでもなく、都心のマンションは郊外マンションより高いものです。

東京郊外の各都市にも、それぞれに働く場所があり、そこへ通勤する人もあるわけですが、首都圏住民の大多数は東京都心の職場に通勤しています。毎朝の通勤ラッシュがそれを象徴しています。

都心の職場に通う人は、できることなら自転車で通える程度か、電車でも二駅か三駅程度の近くに住まいを構えたいと思っています。

しかし、そう考える人が多いために都心の住宅価格(売買・賃貸)はうなぎ上りに高くなってしまい、安い住宅を求めて郊外へ移ることとなりました。正確には押し出されたのです。高度経済成長、バブル経済期のことです。

バブル崩壊後、都心への回帰が幾分進みましたが、都心のマンションは郊外に比べて相変わらずの高値で、その傾向に大きな変化はありません。

都心の土地は高く、そこに建てられるマンションの価格は安くなりませんし、マンションに適した土地の売り物も多くありません。

少ない売地の取得競争は常に激しく、それが土地の価格を吊り上げる結果となるのです。

開発できる新築マンションが少なければ、中古物件にも人気が集まります。

こうして都心のマンションは、新築も高く、中古も旺盛な需要に支えられて価格は強含みとなるのです。つまり、都心のマンションは中古になっても値下がりしにくいことになります。

これに対し、郊外マンションは土地需要が相対的に少ないので、安い価格で供給ができます。中古マンションも同様で、都心ほどの需要がないので、価格は常に弱含みとなります。

都心の新築マンションの価格を100とし、郊外の新築マンションを70とします。これが中古になったとき、都心は80くらいの価格を形成しているとき、郊外の中古は40くらいに下がってしまうのです。


言い換えると、「高い物件は高いまま、安い物件はより安くなる」。これが法則のひとつです。



2)バス便物件が値上がりすることはない

「高い物件はより高く、安い物件はより安く」という法則は、そのまま駅近マンションとバス便マンションとの差にも当てはまります。

バス便マンションは、多くの場合で環境の良さと価格の安さを「売り」に販売されます。

バス利用の不便さは望むところではないはずですが、通勤先が近辺にあるような人を中心に、子供が喘息のために空気の良い場所に住みたいからという人や、家族数が比較的多いので広い家が欲しいという人、かつ予算が少ない需要を取り込んで販売されます。

しかし、通勤を犠牲にしてバス便を選択する人の絶対数は少ないのです。

結局、マンション販売は長期化します。バス便でも「価格訴求」や「商品企画の差」で販売が難しくないなら、売り出す例は少なくないはずです。

ところが多くのデベロッパーは、環境がちょっとよいくらいではバス便の弱点を克服できないこと、価格も徒歩物件の価格に較べて「格安・激安」でなければ厳しいという現実をよく知っています。

マンションの原価を構成する土地代と建築費の割合において、バス便マンションは土地代の比重が低いので、土地をより安く取得できたとしてもマンション価格が「激安」とはならないのです。

格安・激安にするには、建物品質も落とさざるを得ません。しかし、品質を落とすことには限界があります。

結局、価格は落としたくても十分なレベル(格安・激安)にはなりません。言い換えると、徒歩物件との価値の差にマッチする低価格までは下がらないのです。

バス便マンションは需要が少ないので、中古になっても同様に買い手を見つけるのに苦労することになります。そのために価格は下方圧力を受けることになります。


バス便マンションは値上がりしないのです。





3)利便性と環境の良さは両立しにくいものだ

数万坪の大規模な再開発が駅前で行われると、道が綺麗になり、公園が整備され、街並みががらりと変わります。マンションと商業施設が誘致され、便利で環境も良い理想的な住宅街が完成します。

しかし、このような例は極めて稀で、駅に近くて環境も整備される大規模再開発のマンションは、多くの場合が工場跡地などです。

このケースは、「環境創造型マンション」として人気を集めますが、工場は都心にはなく、多くが幹線鉄道から枝分かれした鉄道の駅前か、工場地帯だったエリアの駅前になるので、利便性は良いとは言えません。

駅のそばで環境が良いマンションは、都心に近いエリアには存在しないのです。あるとすれば、旧・住宅公団の分譲マンションや現UR賃貸住宅団地の建て替え例が僅かに見られるくらいです。

結局、駅に近いマンションは、喧騒の中にあるか、既存のビルに囲まれたような位置になるので、良い環境条件を併せ持つことはないと思った方が正解というわけです。


4)再開発の人気マンションの価格は10年後のもの

再開発で誕生したマンションの中には、分譲価格が現状とマッチしない高値のものが少なくありません。再開発のグランドデザインがほぼ固まっているケースは、完成後の価格を織り込んだレベルになっているのです。

開発業者は、「再開発のグランドデザインはとても魅力がある。これなら高値でも売れる」そう踏んで、用地争奪戦で高い札を入れて行くからです。

再開発で街の魅力は倍加し、従って値上がりすると期待して多くの購入者が集まるのですが、価格は言わば10年後の価格が設定されているので、中古価格は期待ほどにはならないのです。

勿論、バス物件のように値下がりするということではなく、高値安定とでも言えばよいでしょうか、購入価格から下がる確率は低いのです。

何故なら、魅力的なタウンが完成し、そこには新築マンションはもうなく、購入した人たちも惜しんで売り出す人が少ないため、中古人気が高いからです。


5)枝線より幹線・支線より本線

幹線鉄道とは主要鉄道のことで、枝線鉄道とは主要鉄道から枝分かれしている鉄道のことと定義しておきます。

枝線には、ふたつの種類があります。主要鉄道の駅で乗り換える必要があるものと、二股に分かれる駅で乗り換えなしの直通電車も運行するものがあります。

一方、幹線鉄道は東京都心とダイレクトにつながる鉄道ということです。


駅近マンションは、高くても人気があるものです。首都圏住民は利便性を優先する多忙な人が多いからです。

しかし、幹線鉄道の駅前は既に建物が密集していてマンションが新しくできそうな空地はなかなかないものです。待っても探しても、なかなか良い物件に当りません。

そこで駅から徒歩15分も歩く物件を選択したりします。それさえも幹線鉄道では高くて買えない、または面積の妥協を強いられるものです。

仕方なく、1回乗り替えを覚悟し枝線の物件に目を向けるという選択になる人もあるわけですが、枝線を望む人は少なく、髙くても幹線・本線鉄道の駅のマンションが人気には敵いません。




6)「駅から近い」は徒歩5分までのこと

駅に近いとか遠いとかいうときの基準には個人差があります。

駅から徒歩20分を要する一戸建てなどに住んでいると、10分の立地を「とても近い」と感じることでしょうし、反対に、駅のそばの賃貸マンションに住んでいるような人は、5分のマンションを見ても何も感じないか、「少し遠い」と感じるかもしれません。

しかし、新築マンションの売れ行きを見ていると、「10分は人気がなく、5分以内は人気を博する」という傾向があります。分岐点は7分と言われています。大半の人が利便性を望んでいるということの証左です。

中古マンションとして売り出すときも同様で、駅に近いという印象は5分前後までと認識しなければなりません。

人気の有無は、当然ながら価格に影響します。 マンション価格を決する要素の一番は駅からの距離なのです。


7)マンションの価値は立地で決まる

マンションの価値を大きく左右するのは立地条件です。立地さえ良ければ建物はどんなものでも構わないというほど単純ではないものの、マンションの価値は立地がすべてと言ってよいほど比重が大きいのです。

立地が良いとは、駅に近いこと、その駅が都心や都心に近い駅であること、その駅から都心へのアクセスが良いことなどを意味しますが、先に述べたように「駅から近いとは徒歩5分以内」ですし、「鉄道は幹線・本線の駅」が条件になるのです。

他には、複数の機関が調査して公表している「住んでみたい街ランキング」の上位に入る街・駅であることや、有名な大規模公園に隣接する、大規模ショッピングセンターなどが1~2分の距離にある、一級河川や運河、海などの眺望が優れているといったことも立地条件が良いマンションと言えるでしょう。

無論、これらも駅から遠くないという条件と併せてのことです。


8)中古マンションは新築より安いとは限らない

一般に中古マンションは新築より安いと言われます。事実そうです。しかし、中には築後30年を経ても新築と変わらないか、むしろ高い値が付くマンションが存在します。

いわゆるヴィンテージマンションと呼ばれるものがそうですが、このような特別なものでなくとも、新築を上回る高値の取引が行われている中古マンションがあるのです。

新築は高いから中古に狙いをつけて探す人もいますが、中古の中で「より条件」の良い物件を求めて行くと、新築と大差がないことに気付くはずです。

優良な中古は、新築並みの結構な値段と思わなくてはなりません。マンションの価値を左右する比重が高いのは立地だからです。


9)業者が売主のリノベーション物件は割高

中古マンションは、築40年近いものになると、レトロな印象の中に味のある建物もないことはないですが、多くは見映えが悪く見学しても購買意欲が湧かないものです。

無論、一番の理由は建物の耐久性や耐震性に不安があるからです。

そこで販売促進のために、専有部分だけでも新品同様にしようという策が自然に登場して来ます。つまり「リフォーム」です。

所有者が居住したままでリフォームするのは難しいですが、移転してからなら思い切った工事が可能になります。

思い切った工事、すなわち設備機器の交換をはじめ、間仕切りも換える「リノベーション」です。

リノベーションは、玄関ドアや窓のサッシなどを除けば、新築マンションのモデルルームにも劣らない、むしろ斬新な印象を放つマンションを誕生させます。

その綺麗でお洒落で、賃貸マンションでは見られない先進の設備を備えたリノベーションマンションは、見学者の購買意欲を高めるのに威力を発揮します。

「新築みたい!」と舞い上がって契約してしまった人も少なくないのです。

しかし、築40年になろうかという古いマンションには重大な欠陥が隠れている場合があるので、見せかけに騙されてはいけません。


●旧耐震基準ゆえに耐震性に不安

築30年以上、正確には1981年以前に竣工した築34年以上のマンションは、「旧・耐震基準」のマンションです。

建築基準法の規定の中にある「耐震基準」は過去何回か改訂されて来ましたが、大きな変更があったのは1981年です。すなわち、1981年の6月以降の建築確認(許可)は新耐震基準で行われるようになったのです。


阪神大震災のとき、昭和40年代(1965年以降)に建てられた古いビル・マンションが倒壊した例が多くあったのは事実ですが、1981年以前のマンションがすべて倒壊したわけでもないのです。

しかし、今後来る巨大地震に耐えられるだけの耐震性があるかどうかを素人が見分けることは不可能です。1981年以前の古いマンションを検討する買い手から見ると、耐震性に関しては闇の中で、敬遠せざるを得ないのです。

そこで、「リノベーション」の登場となったのです。

●安く仕入れて高く売るリノベーション業者の物件は割高

リノベーション物件は例外なく割高と言って過言ではありません。

表面は華やかでも、中身(耐震性と耐久性)は大いに疑問の老朽化マンションと言うべきリノベーション物件は、価格と価値が一致しないのです。

誤解のないようにお断りしておかなければなりませんが、マンション1棟をリノベーションしたものは別格です。 1棟リノベーションは、耐震補強も実施していることが多いからです。

リノベーション物件は、ほぼ例外なく売主が個人ではなく業者です。中には大手仲介業者も含まれますが、大半は無名の不動産業者で、本業はリフォーム事業だったりします。

築40年を超えるような物件は中々買い手が付かないので、個人売主は業者に買い取ってもらう道を選択します。買い取り業者は安く仕入れ、リノベーションを施して販売するわけですが、そのとき信じられないような利潤を加えます。

売主直販なので当然なのですが、仲介手数料が無料であることを強調し、いかにもお得感がありそうに見せる手法で販売に当たります。

ご承知のようにマンションの仲介をしても、手数料が最大で6%余しか受け取ることができません。実際は3%になることが多いのです。

これに対し、リノベーション物件を自社物として販売する場合は、仲介でなく売主としての売り上げ100%と利益20%前後を得られます。



●高くても値打ちがあるとしたら

耐震性は別として、新築マンションと見まがうようなマンションなら、たとえ高くても買い手にとってメリットがあるかもしれません。なぜなら、リフォーム工事の手間が要らないからです。

リフォームプランを自ら立案し、工事業者を選択し、打ち合わせ、見積り検討、プラン見直し、工事契約といった一連の作業は相当のエネルギーを要します。

それが無用というのは、随分楽なものです。価格が高いとしても、それなりの価値はあるのかもしれません。


10)直貼り床はローコストマンションの象徴

マンションが日本で本格的に普及する前、黎明期の昭和30年代はコンクリート直にカーペットを張り付けた構造だったようです。天井も二重になっていない例が結構多かったのです。直天(じかてん)と呼ぶ形が普通でした。

カーペット貼りは、軽衝撃音は響きにくい利点がありますが、ドスンといった重衝撃音には無防備です。

また、給水管やガス管はコンクリートに埋め込む形だったようです。電気配線も天井のコンクリート内部に埋め込んであったのです。当時は、老朽化したときの配管の交換などは考慮していなかったのです。

このようなマンション供給を続けているうち、騒音苦情に分譲主や施工会社が直面する機会が増えて行きました。

配管のルートも、耐久性を考慮して埋め込みは良くないと気付くようになっていきました。

そして誕生したのが二重床・二重天井という構造のマンションです。

水道管やガス管はコンクリートに埋め込まず、「床ころがし」という方法を採るようになりました。電線も天井裏を通す形です。

床の二重構造は、最初は細い木の角材(根太=ねだ)を何本もコンクリートの上に置き、その上に板を張って、更にカーペットを張るという方式でした。

コンクリート直ではないので、床の上で飛び跳ねても騒音は小さいはずだと考えられました。

しかし、実際は空中に浮いているわけではないので、音は伝播します。完璧に音を消すことは困難ですが、遮音性の高い材料の開発や施工技術の研究を重ねながら、何種類もの方法が試されて今日に至っています。



●直床(じかゆか)のどこが問題か

直貼り床のどこがいけないのでしょうか? 二重床にしないと階下に生活音を響かせるのでしょうか? いいえ、必ずそうなるとも言えないのです。

遮音性は、コンクリートの厚さや梁から梁までの長方形面積、施工方法、施工精度など様々な要素が絡み合って差ができるものです。

単純にはコンクリート直より、別の素材と空気層をサンドイッチした方が良いに決まっていますが、実際は違っています。二重床の方が直床より遮音性は高いことを証明するデータはありません。

直床構造の最大の問題は、将来のリフォームが制約を受けやすいということです。大掛かりな間仕切り変更を計画したときに初めて気づくという問題点なのです。

比較的築浅の段階で売却するときは問題ないですが、築20年くらいになって来ると直貼りの問題がネックとなって買い手が中々つかないという事態に直面するかもしれません。

最近、新築より安い中古を買って改造し、自分好みのマンションにしたい夢を持っている人が増えています。いわゆるリノベーションを前提にする人ですが、その種の買い手が、物件を気に入り、価格も予算以内にあるということで商談が進んだとします。

買い手候補は、間取り図を見ながら改造案を巡らせます。その過程で、管理人室に置いてある設計図書(竣工図)を見て、天井の低さや配管ルートの取りづらさなどに気付き、改造プランの実現が困難であると知るかもしれません。

その結果、購入を断念する、売主から見れば客を逃すということになります。結局、間仕切りまではしなくてよいという買い手にしか売ることはできない可能性も高い。そう覚悟しなければならないかもしれないのです。

また、直張りのフローリング材は、遮音性を高めるためにラバーのようなものが張り付けられたタイプが用いられるため、歩行すると柔らかくて沈み込む感じがあり、何となく頼りない印象を受けます。

その点、二重床は遮音性を高めるためのコストが増えますが、沈み込むようなフローリング材を採用せずに済みます。床材の選択の幅も広がるメリットが多いのです。


●問題は建物品質にある

背広にはオーダーメード、イージーオーダー、レディメードの3種類がありますが、2着で3万円のレディメードがある一方、30万円のオーダーメードがあるのと同じで、マンションも手をかければかけるほど、また個性を競えば競うほどコストは上がり、分譲価格も高くなって行くのです。

ローコストマンションは、規格型の設計にして特別な材料も部品も極力使わないこと、作業工程を減らして時間と手間をかけずに労務費を抑えることによってローコストとしていることが特徴です。

その結果出来上がる建物は、高級マンションから遠いものです。目の肥えた人には、安物マンションに見えるかもしれません。

あるマンションの広告でこんな文言(コピー)を見つけました。

「洋服のように簡単に替えのきかないのが住まいであろう。貴方の人生を纏う(まとう)住まいだからこそ、選び抜かれた生地で、仕立てにこだわり、着心地がいい、そんな住まいであって欲しい」

ローコストマンションは、この対極にあるマンションと言えます。ローコストマンションの象徴、それが直貼り工法です。        



11)ブランドマンションには安心料が含まれている


欠陥住宅・欠陥マンション騒ぎが何年おきかに発生します。 その報道を見聞きした人は、自分だけはそのような住宅・マンションを掴まないようにしなければとの思いを強く抱きます。

しかし、素人にとって欠陥かどうかの見極めは簡単なことではありません。 実は専門家でも蓋をされてしまうと見抜けないものです。

何年か前に「耐震偽装事件」が起こりましたが、コンクリートの中の鉄筋を透視することは誰にもできません。

そこで、性善説(せいぜんせつ。人間の本性は善であるとの孟子の説)に従い、買い手は作り手の良心を信じて購入することになります。

雨漏りするようなマンション、地震ですぐに倒壊するようなマンションを売っているのではないと考えるわけです。

しかしながら、悪意はなくてもスキル不足や管理ミスなどで粗悪なマンションができてしまうことが万にひとつできてしまうのも事実です。

そこで買い手は「より安全な製品」を選択するための物差しとして、「大手マンション業者」や「大手ゼネコン」などの看板を用いるのです。

ブランドマンションは高いが、しばしば 「安心料だと割り切って買いました」という声を聞きます。

大手なら、しっかりと品質管理、すなわち施工過程をチェックし、欠陥マンションの発生をゼロにしてくれるだろうと、漠然としたイメージではあるものの、期待と信頼感によって商品を選択しているというわけです。

大手企業は中小にない間接部門を抱えています。一人何役もこなす中小企業と異なり、重要な業務は専門部門として独立させ、スペシャリスト人材を育成しています。価格が高いのも道理です。

品質管理に関しては、検査の専門員と独自の検査システムも構築しています。

専門部隊は徹底的な仕事をします。施工管理に当たっては検査項目を何十項目も設けており、請け負っているゼネコンの担当者が音を上げるほど厳しくチェックするといいます。

マンションの世界で特に評価が高いのは、デベロッパーでは三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスなどの大手、建設会社ではスーパーゼネコンと称される、鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店。そして、設計事務所では日建設計、三菱地所設計などと言われます。


品質管理は企業のブランド価値を守り、ブランドは品質の確かさを世に示すものと言えます。
そして、品質の確かさは住まい手の安心感につながるものです。


●それでも欠陥マンションが誕生したら?

マンション業者の多くは、基本的にゼネコンに工事を一任していますが、万一の施工ミスを防止するため、設計事務所に「監理(監督と管理)業務」を依頼し、自社の企画・建設部門の担当者とともに定期的な現場訪問を行うのが普通です。

これは昔からのことで、特に目新しい方法ではありませんが、最近10年で変わって来たのは、政府指定の第三者機関がチェックに参加する方式です。

これは、2000年に施行された法律「住宅の品質確保に関する法律」に基づく「住宅性能表示制度」を利用するデベロッパーが増えて、建設中の現場を定期的に検査するようになったからです。


マンションの品質管理は、このようにして二重三重にチェックされていますが、人間のやることです。手抜かりは万に1回にせよ起きてしまうものです。


ときどき施工ミスや欠陥マンションが明るみになることがあります。それらの事件に触れて思うのは、信用保持のために企業が多額の経済的負担を強いられること、それが可能なのは大手に限られるだろうという点です。

構造的な部分の瑕疵は法的に担保されています。中小業者でも「保険加入」が義務付けられているので一定程度は補償されます。ただ、竣工から10年を超えてしまったら、法的には業者に補償責任はなくなるのです。

ある日突然マンションが倒壊するなどということは万に一つもないと信じたいですが、巨大地震が来たときなどに、想定外のことが起こらないとは誰も断言できません。

このようなことを想像するとき、ブランドマンションに傾く買い手が多いのは当然のこととも思うのです。

分譲マンションの歴史は、まだ50年あるかなしかです。この長いとは言えない時間の中で経験を積んだデベロッパーの中には高い授業料を払ったこともあるのです。それが今日の企業活動につながり、今日の地位とブランド価値を高めて来たとも言えます。


一定期間の集中広告キャンペーンを展開するなどして一気に知名度とブランドイメージを高めるという企業戦略もありますが、本来は長い経験と多くの実績がブランド価値を高めて行くものなのでしょう。「ローマは一日にして成らず」です。

マンションの価値を検証するとき、施工がどこかも大事な要素のひとつです。素人では見抜けない欠陥が、大手ゼネコンの施工マンションなら多分ないだろうという安心感。理由はそこにあるのです。


大手マンション業者、大手ゼネコンのブランド価値は、安心という付加価値を生んでマンションの資産価値の向上に直結しています。付け加えると、売却時に次の買い手を安心させる要素として大きな意味を持つことになるのです。



12)大規模マンションは小規模マンションに優る

単棟のタワー型マンションにせよ、中高層の多棟型マンションにせよ、大規模マンションはスケールメリットがもたらす付加価値が豊富です。

共用施設が充実しており、その恩恵にあずかれるからです。

タワー型なら、絶景を楽しむことができる展望ラウンジ、両親を呼んで歓待することが可能なゲストルームなどが定番の施設です。

広大な敷地に複数の棟を配置した大規模マンションでは、敷地内公園や散策路・遊歩道、人工の親水公園などが併設されています。

子育て世代が多いエリアでは、雨の日も子供が走り回れるキッズルームや保育所を併設したものも見られます。

これらの施設は、小規模マンションでは造りえないものです。

また、規模に関係なく設けられる共用部分においても、大規模マンションは小規模マンションを圧倒します。

エントランスホールやロビーの大きさが違うのです。広いだけでも立派に見えるものですが、中には2階に設けたロビーへエスカレーターで移動する形式の大規模タワーマンションも少なくありません。

管理サービスの面では、コンシェルジュを置き、入居者の様々な利便に答える体制を整えているのも大型ならではです。

管理費や修繕積立金は割安なものが多いとされますが、管理費や修繕費が高くつくケースもあります。スケールメリットを超える過剰な施設、過剰なサービスが原因なのかもしれません。



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増える「修繕積立一時金」

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

新築マンションの場合、「修繕積立基金」という名目の一時金を納める慣習が定着しています。

納める先は管理組合なので、購入者の貯蓄の性格を持つものです。貯蓄は多いほど良いのですが、最近の傾向は新築分譲時に大きな金額をまとめて徴収する例が増えていることにあります。

ご承知のように、修繕積立金は文字通り毎月の「積立金」と「基金」で構成されています。基金は、新築分譲時に一時金として最初の購入者から徴収してしまうというものです。

毎月の負担を軽減するための基金ですから、その金額が大きければ大きいほど毎月の負担は小さくできる理屈です。

ところが、現実はそうなっていないのです。毎月は従来同様で、一時金だけが大幅に増えている傾向が目につく昨今です。

実態を少し拾ってみましょう。


●三菱地所レジデンスの場合

同社のある都区内マンション(工事中。完売)で、65.07㎡タイプの毎月が7160円、一時金78万円という例があります。

毎月の負担7,160円は、1㎡当たり@110円となります。一時金の78万円は、毎月分の100倍強です。

東京の場合、毎月が@80~100円、一時金は60倍(5年分)というパターンが多いので、三菱の設定はどちらも多いですね。

同社の別の物件で、@90円/㎡と100倍となっているものもあります。毎月は普通ですが、一時金はやはり多いですね。



●野村不動産の場合

同社が今月販売を開始する中規模物件の例です。 75.25㎡のタイプの毎月が8190円、単価@109円、一時金81万2700円、100倍弱となっています。

別の物件(今月発売)も、毎月が@107円/㎡、一時金は87倍となっています。

こちらも高い設定です。


●住友不動産の場合

最新の発売物件のひとつを見ると、71.11㎡で毎月が6750円、単価95円/㎡、一時金が37万7900円で60倍と従来パターンです。


●修繕費が足りなくなる?

読者ならご存知のことですが、最近の建築費の高騰は激しく、その影響でマンション価格が上昇中です。

分譲価格の高騰も困った問題ですが、建築費の高騰は中古マンションの大規模修繕などにも影響を与える可能性があります。

修繕積立金は、将来の修繕費用を予め見積って金額を設定するはずです。とはいえ、10年先の工事予算を正確に見積れるわけもなく、現在価格で見積ることになります。

しかし、正確に見積ってみても10年先には数字が変わって来るはずなので、分譲時の予算は概算での適当な予算書を作成するに違いありません。

つまり、過去の見積もり実績をベースにして用意した規模別・高さ別の基準書のようなものが管理会社内に存在するのではないかと思うのです。

三菱地所レジデンスや野村不動産が販売時に買い手に提示している修繕積立金、同一時金が高くなったのは、筆者の憶測ですが、傘下の管理会社に命じて基準の数値を上げさせたのではないかと思うのです。

修繕積立金も一時金も、高い設定は販売成績に影響を与えます。できたら上げたくない。これが販売現場からの偽らざる声です。

ランニングコストは、管理費、駐車料金も加わえると馬鹿にならない金額です。

小型マンションでは、管理人を置かずに巡回方式にして管理費を抑えたりするものです。

それなのに、なぜ修繕積立金・一時金等を増額しているのでしょうか? 先に述べたように最近の建築費上昇が直接の影響なのでしょうか? どうも違うような気がします。

●修繕費用の段階的増額ペースは急すぎる?

マンションのメンテナンスは、社会的ストックであるマンション、建て替えが簡単にできないマンションといった認識を前提に置くと、長期的な視野で計画しておくべき重要なテーマです。

分譲したら終わりというマンション業者のかつての姿勢は改善され、分譲後も買い手の資産を守ることに関心を払い続ける姿勢に転換され、分譲時に「長期修繕計画書」の策定をするのは業界標準として定着しました。

その中に設けられる修繕費用の収支計画表30年分を見ると、積立金は5年ごとに上げられているのが一般的です。

ある例を紹介すると、1~5年:7,000円、6~10年:10,164円、11~15年:13,319円、16-~20年:16,473円、21~30年:19,628円となっています。

初期の7,000円と21年目の19,628円を比べると、3倍弱に増える計画です。

マンションが比較的新しいうちは修繕費も少ないから安く、古くなればなるほど費用が嵩むので高く設定するという論理は正しいにしても、買い手の負担感が大きいと、購入をためらう原因になります。

最近の買い手の多くが、段階的に増額する修繕積立金を尋ねるからです。

中古マンション販売の世界では、修繕費が足りないので一時金を徴収するとか3倍に値上げする予定とかの説明があると、急に購買意欲が萎えてしまう見学者も多いと聞きます。

積立金の増額ペースを滑らかにしたり、減額したりする形で買い手の負担感を抑えつつ、必要な積立金を蓄積して行くには、分譲時の基金を多くしておく方法がベターと考えられます。

購入者心理としては、購入時の頭金と登記料などの一時金支払いには比較的抵抗が小さいというか寛容というか、そんな傾向があるからです。

マンション業者は、その使命として長期的な視野で販売先と関わっていくことが必須です。それが結果的にマンション業者自身の信用の拡大につながるのです。

最近、増えて来た一時金増額の動きには、マンション業者の良い意味での深慮遠謀があるということかもしれません。


●基金は売主も協力したらいいのに

最後にもうひとつ、もし毎月の負担を和らげるために基金が多額に必要というなら、分譲主も一役買ったらいいのです。つまり、基金に寄付すればいいのではないかと思います。

1住戸あたり50万円なら東京圏の1住戸あたりの価格5000万円の1%に過ぎません。

まあ、そこまで踏み切るのは無理としても、半分の25万円くらいなら可能なのではないかと思ったりします。

もっとも単純な寄付というわけには行かない税務上の問題など、何らかのネックはあるでしょうが、そんなものは必ず解決策があるはずです。

業界各社に真剣な検討を促したい。ついでに言えば、それは販売促進にもプラスだと思うのです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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新築マンション値上げ販売の流行(?)に危険な影


ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

最近よく耳にする話をしようと思います。これは、本ブログを読んでいるかもしれないマンション業界に届けと願うものです。

業界大手のA社は、人気物件においてたびたび価格を変更、つまり販売途中で値上げしているというのです。

同じ間取りの10階が5000万円で下の階が5100万円、上の階は5500万円などとバランスも理由も分からない価格設定に結果的になってしまうような価格変更が現実に行われているようです。

分割販売の形態を採っているので、販売現場では「次期の販売では値上げの予定ですから、購入するなら今です」と客を慌てさせる営業を展開しているとも聞きます。

中堅のB社では、最上階の角住戸が工事完成直前になってキャンセルになったそうで、当初の価格に1000万円を上乗せして再販売をある客に案内して来ました。

分譲当初の価格を知らない客は、高いなととは思いつつも、まさか1000万円も値上げしたとは知らずに検討していたのですが、しばらくして値上げ金額を知り大いに憤慨したそうです。

B社の言い分はこうだったそうです。「周辺の相場に合わせただけ」と。

大手C社でも同様のことが行なわれていました。これもキャンセル住戸の再販においてで、販売初期から約1年を経過していたので、値上げしても後発物件を下回る価格だったそうです。

物の販売において買い手が殺到する場面というのは、大体が「セール」つまりディスカウントするというときです。

マンション販売では、値上げしても買い手が殺到するなどという世間の常識と反対の状況が起こるなんて、そんなことが本当にあるのでしょうか?

近い現象がありました。消費税の増額前に発生した「駆け込み需要」ですね。

近いと言ったのは、やはり根本的なところで異なるからです。消費税の増額の場合は、開始日を予告し、相当の猶予期間を置き、それまでは盛んに喧伝しますね。マンション販売で、「いついつから値上げします」などとPRしているでしょうか?

していないはずです。価格は伏せながら、買い手が前向きな気分に達したときにさりげなく値上げ後の価格を訳も言わずに提示するという方法です。

どこかに後ろめたさを感じながら販売しているように思えてしかたありません。

それでも当該物件を気に入って買うのは買い手の自由ですが、筆者が言いたいのは、売り手の言い値で買わずに少しでも値引きを勝ち取って欲しいということです。

値上げしたということは、十分な利益が見込まれているのですから遠慮は無用です。高いなと思ったら、「買いますから、値段もう少し何とかなりませんか」こんなふうに口火を切ってみましょう。

閑話休題、値上げは売り手の首を絞めることなのですが、業界は何を考えているのでしょうか? 

2年前、業者はもっぱらコスト上昇分を価格に転嫁するのをためらっていました。急な高値は顧客離れを起こすと恐れたからです。少し値上げして反応を見たい。どこまで値上げが通用するか様子を見ようとしていました。

ところが、この間に住宅ローン金利が一段と低下し、購買力が上がったのです。値上げの影響はさほどないと知ったようです。それからは堰を切ったかのように、それまでの相場の2割高、3割高の価格の売り出しが続きました。否、今日も続いているのです。

買い手は賢明です。値上がりを知らないわけはないのです。それでも手が出る買い手は、買いたいから買うわけです。それをいいことに業界は高値で売り出し、挙句の果てには販売過程で値上げする業者も出る始末です。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」ということでしょうか? 他社がこうだからうちもと値上げ追随。そのうち買い手に背を向けられるに違いありません。

値上げした業者も、別の地域では販売に苦労し、値引き販売を強いられているのも事実です。その損を、値上げできる現場で取り戻せということかもしれませんが、買い手に通じる論理では無論ありません。

売り手には売り手の論理と事情があるのは理解できますが、値上がりトレンドの中で「便乗値上げ」や「恫喝的セールス」を続ければ、客離れを引き起すことになりかねません。そんな事態を希望するはずはないですが、危険水域に近づいている気がします。


・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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