迷走する買い手


ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


このブログをご覧になってメールをお寄せ下さる方の多くは、これからマンションを買おうとしていらっしゃるわけですが、日々そのご質問や物件の評価ご依頼に接すると、統計をしなくても様々な傾向変化に気が付きます。

4月以降で変わったなと思うこと、それは現住所と検討物件の所在地が遠く離れていることです。

住宅選びは、行政市区や駅、あるいは鉄道沿線を選択することからスタートする人が多いものです。神奈川県在住の人が東京を飛び越えて埼玉県のマンションに興味を示すことは、親兄弟が住んでいるケースなどを除けばまずなく、通い慣れた沿線上のいくつかの駅を候補地に選ぶか、住み慣れた同市域の中で物件を見つけようとします。

これを「地縁性のある人」と呼んで、マンションの売り手は、建設地の周辺の一定の範囲に絞ってチラシの折り込み広告を行ったりするのです。

他の市域と他の沿線に住む人の中からも買い手が表れることは無論あるので、その買い手を見つけるには、費用効果を考え、雑誌SUUMOやときに新聞広告、そして必須のインターネット上にHP開設して広告媒体とします。これを広域媒体と呼びます。

広域媒体が大きな効果を発揮するのは、誰もが住みたいと思う人気の街・駅にある物件です。この数年で大きくジャンプアップした街のひとつに東横線・JR線の交差する「武蔵小杉」がありますが、この街などは、沿線住民以外からもたくさんの買い手を集めたことが知られています。

東京都内では、江東区の豊洲地区なども同様です。大規模なタワーマンションを建設分譲するたびに人気を集め、良好な販売成果を挙げたのです。

これらの地区では、大型マンションが多いせいか、広告予算の使い方も大型でした。広域にアピールできる媒体として新聞と雑誌広告、インターネット以外にも、推測ですが1回あたり100万部くらい、もっとかもしれない大量のチラシ織り込みを広範囲に実施しているのです。

買い手は一般に「能動的」なものですが、たまたま新聞を広げたら目についたチラシや、電車内の吊り広告を通勤電車の中で見たことを契機に動く買い手は、「受動的」な広告ターゲットと呼ばれます。

買い手の中には、顕在化した買い手もあれば、潜在的な買い手もあるので、後者をキャッチしたい売り手は広告が彼らの目に留まるように工夫を凝らします。

さて、最近気づいた傾向変化のことですが、武蔵小杉や豊洲のような人気エリア以外のマンションで、地縁性はないのに購入を検討している人が従前より増えて来たということです。

500戸も1000戸もあるような大規模物件ではなく、せいぜい200戸台の物件で話題を集めているとしても狭い範囲の中でのことと推察できる、普通よりは少し魅力的なマンション、そんなマンションを能動的に検討している人のことです。

勤務先が近いわけでもなく、親兄弟が住んでいるわけでもない、全く縁もゆかりもない物件に遠くから見学に行ったというのです。通勤時間が同じか少し便利になる別の路線の、広い意味では通勤圏内にあるという共通点(縁)はあるのですが、全く馴染みがないか、あっても職場の同僚が住んでいるという程度の人たちです。

このような人たちの動機はなんであったか、答えはすぐ見つけることができました。それは物件探しをしているうちに、いつの間にか知らない街に来てしまったということでした。つまり、希望する駅・街・沿線では条件に合いそうな物件がないのです。

このブログでときどき紹介するマンション市況の分析記事でご記憶の読者も多いと思いますが、近年マンションの新規販売(供給)戸数は大幅に減っているのです。筆者は「品薄感続く」という表現を使って来ました。

傾向変化は、ここに原因があると思うのです。

価格の急騰、これも過去3年の間に平均で20%も上がったことも紹介して来ました。

品物は少なく、有っても予算が届かないので、仕方なく条件を妥協したという買い手を増やしていますが、その延長上に「希望エリア」の突飛とも思えるような変更があるのではないかと感じるわけです。

感じると書いたのは、ご相談者にプライバシーに係る部分をお尋ねしないようにしているので、多くは筆者が推測するしかないからです。

筆者の若いときの転居行動を思い出してみました。

地方出身の筆者なので、初めは東京の右も左も分かりませんでした。住んでみて分かったこと、都内の職場に通勤し、仕事で首都圏内を動き回るうちに多くを学んだのです。

不動産・マンション業界に長く身を置き、マンションを生涯の研究テーマに定めて過ごして来た筆者でも、まだ一度も降り立ったことのない駅が多数あります。東京(首都圏)は本当に広いと感じます。

転居を繰り返していた若い時分、転居先はいつも考えなしでした。漠然とした希望を業者に伝え、業者の勧める物件を見学し、いつも即決でした。ただし、都区内なので、どこに住んでも通勤は大差がなかったのでしょう。これらは、賃貸住宅への転居の話です。

ところが、購入するときは違っていました。予算のことが無論あったのかもしれませんが、一定のエリアに絞って選択しようとしていた自分がそこにありました。

自宅マンションの大きな値上がりを喜んだとき、都区内から横浜市に転居を考えたこともありました。新婚当初住んだのが横浜だったので、馴染みがあって頭に浮かんだからですが、最大の理由は資金にありました。

売却したらローンの残債を清算してもびっくりするほどの大きな現金を手にすることは分かっていましたが、それを頭金にしてもサラリーマンの筆者には値上がり急な都区内ではランクアップした買い替えは実現できそうになかったのです。そこで、まだ値上がりの波が及んでいない周辺部の物件に狙いを着けたというわけです。

わが家の値上りは、同エリアの全ての物件の値上がりも起こっているので、資金調達力が特別にない限り、同エリアでのランクアップ買い替えは難しいのです。

これらの経験を通じて知ったことは、「住めば都」という古い格言の実感でしたし、場所に強い執着がなくても、予算次第で人は動けるものだということでした。

今、マンション選びで大事なことは、先入観や固定観念を取り払い、条件を一旦白紙にしてみることかもしれません。

仕事の都合上、この辺りを離れることはできないとするなら、購入物件の対象を新築一本から中古も念頭に置くとか、その中古も中々良い物がないとしたら、築浅物件から思い切って30年ものに目を向けることです。

通勤時間が1時間以内なら特にこだわりないという人なら、思い切って沿線・地域を拡大してみることが必要です。遠いと思っていたエリアが、意外に便利な駅であるかもしれません。ローカルと思っていた街が、行ってみたら思いがけなくお洒落で賑わいのある都会であったなどに気づくかもしれないですね。

今日のブログのタイトルは「迷走する買い手」でしたが、これはネガティブな言葉ではなく、マイホーム実現に辿り着く過程では迷走してみることも大事なことと言いたかったからです。

いくつかの知らない街を迷走してみれば、意外な発見をすることができるかもしれません。


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「高値買い」してしまった物件の先行き

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このブログで度々紹介して来たマンション価格の高騰問題。 建築費の上昇を主因として最近3年間の上昇カーブは驚くばかりです。首都圏全体の平均では、2012年を基準にして見ると2015年の価格は20%も高くなりました。

平均20%は、言わすもがな30%も40%も高い物件と10%程度の値上がり物件があることを意味します。

ここで疑問を持った読者があることと思います。昨日まで100円だった品が今日から120円になるような消費財の値上がりと不動産とでは意味が異なるからです。

 同じ不動産でも、賃貸マンションの賃料の値上がりなら分かるのですが、分譲マンションの値上がりとは、同一商品の値上がりのことではありません。

マンションの値上がりとは、昨日まで販売していたABCマンションの平均価格と、今日販売するXYZの平均価格を比べて後者が高いことを指してのことです。

ABCの各マンションの立地条件は異なりますし、XYZの立地条件もそれぞれに異なるのです。建物のスペックやグレードも、少しずつ違うはずです。

しかし、AもBもCも、またX、Y,、Zも同じ一定エリアにあります。例えば首都圏、例えば東京都心、例えば横浜市、さいたま市などと範囲を定めた中で販売されたマンションの全部を平均して3年前は5000万円だったのに対し、昨年は6000万円に上昇したなどと言っているわけです。

構成要素が異なるもの同士を比較して高くなった、値下がりしたなどと表現しているのです。
これに何か違和感を覚える人もあるのではないかと思いますが、唯一無二の商品というマンション・不動産の特性ゆえに、価格の変動を見る方法は他にありません。

仮に、エリアを小さく区切り、3年前に10物件500戸の供給があったとし、その平均価格が5000万円とします。3年後、同一エリアでは1物件30戸の供給にとどまり、平均価格は1億円だったとします。

この場合、「そのエリアの価格上昇率は100%だ」と言うでしょうか? 

3年前の物件はおしなべて標準的・一般的なマンションだったが、3年後の1億円平均の30戸のマンションは全くグレードの異なる高級マンションであり、かつ同じエリアとは言いながら、その中でも超一等地と言われる立地条件の稀有な物件だったとしたら、この比較は意味をなさないわけです。


説明を分かりやすくするために極端な例を引きましたが、マンションの価格上昇率は、数多くの物件の平均を比較しなければ傾向は掴めないということがお分かりいただけたことと思います。


ここで、値上がり(値下がり)の問題を買い手の立場になって考えてみます。

検討中マンションの価格は高くなったマンションなのか、さほど値上がりしていないマンションなのかを知るにはどうすればいいのでしょうか?

3年前から一定エリアの中で継続的に新たに販売されるマンションが出るつど、広告やモデルルームを見て来た人なら、おそらく感覚的に「随分値上がりしたなあ。3年前は70㎡の3LDKが4000万円で買えたのに、今は5000万円以下では買えないよ」などと感想を漏らすに違いありません。

このような買い手も実際にあるのですが、多くは3年前の価格まで把握してはいません。せいぜい半年か1年間のレンジでしか比較できないのではないでしょうか?

このため、1年で20%も30%もの価格上昇中であるときは気付くかもしれませんが、3年で20%、単純に年7~8%の上昇では、「何となくそんな気がする」程度のはずです。3年前の物件と現在の物件はエリアが同じではあっても別の物だからです。

マスコミ報道などで値上がりを聞き、自分の探すエリアもそうなのかもしれないとは思うものの、実感しにくい場合が多いものです。

こうして、3年前に比べて20%も高い、金額にして1000万円も高いマンションを知らぬ間に買ってしまうという実態に至ります。

買えてしまうのは、金利の低下によってローン返済に無理がないからです。考え始めて間がない買い手の大半は、「自分にこんな大きな買い物ができるなんて」と驚いていたりします。

知らぬ間になどと無礼なことを言いましたが、検討時間が半年か1年くらいの人の中には、多数の物件を見比べることによって値上がりを実感して行く人もあることをお断りしておきます。

その過程では、慌てて決断した人、様子見に転じている人、諦めた人、郊外エリアに条件を変更した人などと色分けされて行きます。

「高いけど、もっと高くなる」や「高いが、次の値下がり時期まで待てない」を理由に決断して購入に至った買い手も多数あるのです。



ところで、急激に値上がりしたマンションは、値上がりを知っていたかどうかは別にして、将来どんなことになるのでしょうか? この点の説明も分かりやすくするために極端な例を取ることにします。

3年前は70㎡前後で5000万円だった某駅の徒歩圏マンションが、現在は1億円になってしまったとします。1億円では買えないのでバス便でもと妥協し、それでも6000万円と高くなったマンションを買ったとします。

新築マンションの急騰原因は、人件費高騰によって建築費が上がったことでした。5年後、建築費は下がりました。また、値上がりが急だったために売れ行きが悪化したので、その後の新規売り出しは、利益を切り詰めて価格抑制に努める売主が増加しました。

この結果、平均価格は大きく値下がりしました。某駅徒歩圏の新築マンションは70㎡で8年前の5000万円に戻りました。

そのとき、同エリアに1億円で5年前に取得したマンションの中古価格はどのようなレベルになるでしょうか?

新築は5000万円に戻ってしまったのです。1億円で買った自宅マンションは築5年でまだ十分新しいし、グレードも低くない自慢の我が家なので、新築を上回る可能性はあるかもしれないなどと期待しました。

ところが、新築と変わらない程度、すなわち5000万円でしか売れないなどと知ります。 つまり、購入額の半値です。失望は大きいことでしょう。

6000万円のバス便マンションの方はどうなってしまうでしょうか?徒歩圏の新築マンションが5000万円に戻ったのです。 比べたら、バス便の中古マンションは4000万円でも売れるかどうか。4000万円で売れたとしても2000万円もの損失になってしまいます。

このような事態が、この先に待っているかもしれません。極端な数字を用いて説明したので、現実はもう少しなだらかな結果になるはずです。しかし、急な上昇相場は必ず調整されるときが来ます。

その結果、「高値買い」をしてしまった人は、金額の多寡(大小)はあるにしても損失を被る可能性があると思った方がよいのです。

損をできるだけ少なくするためには、どうしたらいいのか、どのような物件を選択したらいいのか、このような意識を持たれ、より価値あるマンションを取得されることを心から祈念します。

勿論、筆者は多少なりともお力になりたいと考えています。



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適正価格の見極めに苦慮する買い手

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買おうとしているマンションが、「どうも割高な感じがする」とか、「高いがそれなりの価値があるようにも思う。でも、本当のところはどうなのか」といった疑問を持つ人が多いようで、筆者へのご相談の中にも多数見られます。

「このマンションは適正価格ですか?」というご質問に対し、常に丁寧にお答えしているつもりですが、そのレポートを作成するとき、たまに勘違いしてしまう自分に気づくことがあります。

勘違いの根本に、比較するときの基準を何に置くかという問題があるためです。

相場が5000万円であるとき、購入マンションは6000万円。購入マンションの価値は相場を形成する「平均的なマンション」に比べて明らかに付加価値が大きい。その価値の検証をしてみた結果、建物価値、環境、ブランド力などを加味すると購入マンションに平均的なマンションより明らかに高い価値があると判定。

それで1000万円の差はあるとの見解を出したとします。さて、これだけで「価格は適正です」という答えになるのでしょうか?

今日は、適正価格とは何かというテーマでお話ししたいと思います。


●視点➀:適正価格とは?

何を基準にして、適正価格であるとかそうでないとか言うのでしょうか。
基本的には、地域相場があって、それとの比較で高いか安いかという判断をすることになります。
相場とは、一定期間の平均販売価格によると考えられます。
一定期間とは、どのくらいのレンジを指すかですが、例えば価格が安定期にあれば3年なり5年なりになりますし、現況のような急騰期では2年前の相場と過去1年の相場では大きく変動するので、期間は短くなります。

首都圏の全体的な傾向で言えば2010年~2012年は安定していたので、その頃の相場を旧相場、値上がりが顕著になった2013年以降2015年までの価格を新相場と称したりしています。
ただし、地域によって差があり、2010~2013年が安定期で、2014年に上昇し、2015年にはさらに上昇といった地域では、相場は3段階の変動と見るべきかもしれません。2015年単年を「新・新価格」などと語る業界人もあります。新・新価格=新・新相場と同じですね。
尚、ここで言う地域相場とは、概ね最寄り駅を同一とする物件の集計によって形成されることになります。


●視点②:物件による増減ポイント

地域相場との単純比較では3割高であっても割高とは言えない物件と、2割安であっても割高な物件とがあります。言うまでもないのですが、物件価値の高低が加わるからです。
建物が高級であるとか高機能といった建物の質とグレードやブランド力によって、また駅からの距離や直近の住環境など、立地条件の差異によって物件価値に格差ができるわけです。
相場を形成している物件が上級な物件ばかりであれば、検討物件が上級であっても価格が相場より高い場合、それはそのまま割高と判定されることになります。反対に、主に中級物件で形成された相場との比較で何割か高い高級物件ならば、その物件は必ずしも割高でなくなるわけです。
また、大型のバス便物件(格安)が平均を押し下げてできた相場なら、それより10%程度高いだけの駅から徒歩10分の物件は割安かもしれません。

この比較検証は慎重に行う必要があります。同じ最寄り駅の同じような環境を持つと考えられる立地条件ならば、建物価値だけで比較すれば足りるわけですが、実際はそう単純ではありません。
同じ駅といっても、距離が5分と10分では価値判断が違いますし、隣接する建物の放つイメージや眺望、日当たり、接面道路の騒音、接する公園など、立地条件を判定する要素は複数あるからです。
こうした多数の要素を勘案しながら物件価値を検証したうえで、相場と比較して適正価格かどうかを判定することになるのです。


●視点③直近相場との比較で安ければいいのか?

ところで、先に述べた相場の変転を踏まえて、今の相場が過去2年で急激に上昇したものであるとき、それとの比較で検討物件がレベルならば適正価格と見なしていいのでしょうか?

ここは難しいところです。

販売中の他社物件、もしくは少し前の完売物件を引き合いに出して、「高くない」ことをアピールする営業マンに出会うことがよくあります。

一定範囲のエリア地図上に物件名と価格(坪単価)を明示し、これらと比べて高くないこと、稀に安いことを買い手に強く訴える手法です。

しかし、地図の範囲が問題であって、A駅と隣のB駅では「駅力」の違いがある場合も少なくないので、それを一緒くたにして比較するのは妥当性を欠きます。また、徒歩10分超の物件と5分圏内の物件を同列に「高い・安い」を論じることはできないのです。

さらに、駅から5分の物件同士の比較では、一方が「大手ブランドマンション」で他方が「ノンブランドマンション」なら、物件価値に差がついてしまうので、価格差がないとしても「ノンブランド」は割高となるのです。

その差を埋められるだけの要素が他にあるのかないのか、さらなる検証が必要になって来ます。


●販売員の誘導に注意

販売に当たる営業マンは、物件の長所を強くアピールし、その価値の高さを買い手に理解してもらおうとします。そのために、上述の「価格の比較地図」などのツールを用いるのが普通です。

駅から3~4分と近い物件が担当であれば、中古市場における「駅からの距離別・価格変動率」というグラフを使って「駅近マンションの値打ち」を訴えます。

立地も普通で、建物プランに特別な差別化策が採られていない物件ならば、「間取りのオーダーシステム」や「多数のオプション」、「カラーバリエーション」などで買い手の関心を引こうとしたりします。

発展途上の新駅を最寄りとする物件であれば、「人口増加中のグラフ」や、自治体などが公表している「開発計画のグランドデザイン」などを使って「将来性」をアピールするというわけです。

また、最寄駅が魅力に乏しい場合は、エリアを拡大して魅力の街(生活を豊かにする施設等)が近くにあるとアピールしたりもします。

例を挙げるとキリはないのですが、売り手の様々な策によって、買い手は商品価値が実際以上に高いと錯覚させられてしまいます。逆説的には、価格の高さが「割安」に感じさせられてしまうのです。

それ自体は、当然の商行為であり、何ら非難すべきことではありません。しかし、買い手は冷静に適正価格か否かを判断することが求められます。

そのための物差し、言い換えればチェックポイントを知ることが必須です。そして、これは簡単なことではないのですが、重要度・優先度によって比重を変えて判断することが大事です。

大げさに言えば一生に一度の買い物なのですから、後悔することのないようにしたいものです。

ついでに言えば、宣伝じみてしまうことをお許しいただきたいのですが、筆者が提供する「物件評価サービス(無料)」のご活用をお勧めします。


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使わない施設やサービスが多い。管理費が無駄では?

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マンションには区分された専有部分・専用設備と、管理人室や廊下、階段、エントランスホール、エレベーター、受電設備、共視聴用TVアンテナといった共用部分・共用設備があります。

共用部分には、上記の付随する必要最低限のものに加えて、集会室やオーナーズラウンジ、ゲストルームといった共用施設、宅配ボックスや防災設備、カメラ付きインターホン設備などが付加されるのが一般的になっています。

しかし、これらの付加施設・設備は稼働や維持管理に費用がかかるので、使いそうにない買い手から見れば「管理費等が高くなる」と歓迎しない向きも少なくありません。

また、マンションの管理サービスで面は、管理人と別にコンシェルジュや警備員を配置している例が見られます。これらのサービスはなくてもいいのではないかとか、あるに越したことはないが、管理費が無駄にならないかといった疑問を抱く買い手があります。


今日は、共用施設と管理サービスの意義について考えてみました。


●使い切れないほどのメニューでも

携帯電話でもパソコンでも同じですが、たくさんの機能が用意されていても、その過半は使いこなせないというか、不要なものが多いというか、「これとこれだけあれば十分」などと、普段使いしている機能で満足している人が大半ではないか、そんな気もします。

高級ホテルには、必ずコンシェルジュデスクがあって誰かが待機しています。利用する人はどのくらいいるのでしょうか?

百貨店にも来店客をサポートする買い物コンシェルジュという職種があると聞いたことがあります。子供の託児所をつくり、客がゆっくり買い物を楽しむことができるように保育士やベビーシッターを配置している例もあるようです。

しかし、利用している人の割合はきっと少ないはずです。僅かな人が、困ったとき初めて、「これがあって良かった」と感動する、あるいは感謝する程度なのではないかと思います。

利用者は買い物客の0.1%以下では?そんな想像をします。しかし、僅か0.1%しかいない利用者のためであっても、きめ細やかなサービスを用意することによって百貨店の価値が上がると考えられているのでしょう。


●マンションの共用施設と管理サービスの価値

マンション建設のプランナー(デベロッパーの企画部門)が考え、提供する共用施設と管理サービスにも同じようなことが言えるのではないでしょうか?

新築マンションの建築概要を見ていると、「集会室」がないマンションも少なくない昨今ですが、実は一番必要なものかもしれません。

大勢が集まる年一度の定期総会は、収容人数の関係から自治体のホールなどを借りるにしても、毎月のように実施される役員会のためにはマンション内に「集会室」があった方が便利ですし、費用も少なくすみます。

集会室は、コミュニティルームやキッズルームなどとも呼ばれ、ママと幼児の集いの場所や雨の日の幼児用の遊技場としても使われます。パーティや各種イベント開催に利用されるケースも多いようです。

人気があるのは「ゲストルーム」で、親兄弟を招いたときの寝室として使われます。ゲストルームは、ホテルのスイートルームか、スーペリアスタンダード級の立派なものが多いようです。

ゲストルームは旅館業法に抵触しないような運営が求められるのだそうで、宿泊できる人の資格(所有者との続柄)とか、利用料(実費程度)、連泊限度などが管理規約で定められています。

人気があると書きましたが、物件によって差があるようで、大型連休以外は週末でも空いているマンションもあれば、予約が半年以上先まで一杯という人気マンションもあると聞きます。

部屋数も少なく、狭いマンションのこと、呼ぶ方も来る方も気楽に訪問できるゲストルームの存在は有り難い施設と思います。

サービス面では、「コンシェルジュ」がタクシーの手配や長期旅行の際の窓の開け閉め、家事代行やハウスクリーニング業者への連絡などを所有者の秘書代わりにやってくれるというもので、パソコンが苦手な人や多忙な人には重宝です。

こうした施設やサービスの中には、「自分は利用しないから必要がないし、管理費が高くなるだろうから興味ない」という人がありますが、そう割り切って良いものでしょうか?



●共用施設と管理サービスが管理費に影響する度合いは低い

共用施設をひとつ増やすと、価格はどのくらい高くなるのでしょうか?

集会室を例にとって説明しましょう。集会室は普通、1階に設けられます。住居としては条件の悪い位置の区画を選んで集会室とします。

仮に70㎡の集会室とし、平均70㎡の住戸50戸のマンションがあるとします。そのマンションの平均価格が5000万円とすれば、50戸で25億円の販売価格になります。これが採算の取れる下限としましょう。

仮に集会室を取り止めて住戸として販売することにすれば、25億円÷51戸で、1戸平均4900万円になり、100万円の価格引き下げ効果が表れます。

逆に言えば、集会室を設けると100万円高くなってしまうというわけです。

次に、集会室を設けることで管理費や修繕積立金は毎月いくら上がるのでしょうか?

清掃費や集会室の備品、水道光熱費などが必要になります。長期的には集会室の内部に設置したコンロなどの交換、床・壁の張り替えなどが必要になるでしょう。試算は困難ですが、1軒当たりのプラス金額としてはさほどのことにはならないはずです。

しかし、集会室もゲストルームも、あるいは展望ラウンジやフィットネスルームといった共用施設が複数になったらどうなのでしょうか? それとで同じことです。そのくらい充実した物件は戸数も多いので、1軒当たりにしたら大した金額ではないのです。

それでも、それらをバッサリと切り捨てれば、管理費も修繕積立金も目立って安くなる場合もありそうです。実際にも、管理費や修繕積立金の安さを強くアピールしている新築物件をときどき見かけます。



●共用施設と管理サービスが充実したマンションの総合的な価値は?

管理費を安くするためには、共用施設を削り、共用設備も最低限に抑えることが必須です。

例えば、先に述べたような共用施設は一切設けず、エントランスホール、ロビー、廊下といった必須の共用面積を最小とするほか、設備的にもエレベーターを最小限の数で間に合わせる、備蓄する防災備品もなく、植栽もなくせばいいのです。

サービス面では、管理人にコンシェルジュを兼ねてもらう、あるいは管理人を置かない「巡回方式」にすれば、管理費は安くなるでしょう。

しかし、これらの施設・設備が充実したマンションは、付加価値の高いマンションとして市場は評価します。

例えば、ゲストルームや展望ラウンジがあれば、「遊びに来ないか。来るなら予約するから」などと親しい人との付き合いを深めやすくするに違いありません。

また、コミュニティルームではママ友をつくることや、フィットネスルーム、スタディルームといった施設では、住民との触れ合いのきっかけにもなるはずで、いざというとき(災害時など)に役立つはずです。

2階まで吹き抜けの天井高と複数のソファを配置したラウンジ併設のエントランスホールを設ければ、ガラスの清掃だけでもお金がかかりそうに思いますが、視覚的には高級感・豪華さ・差別感などにつながり、誇れる我が家と思えるはずです。

友人・知人を招待したときなどに「すごいね」や「かっこいい」などの賞賛の声を聞いて誇りを感じる場合もあるでしょうし、誰も呼ばないにしても密かな自慢となることでしょう。

このようなことを考えて行くと、やはりマンションの価値を高める要素になるのは確かと思えるわけです。



●「共用施設が少なく管理サービスも最小限」とする条件では選択できない

マンション探しにおいて優先する条件は立地条件でしょうし、何より予算が先に来るはずです。これらが条件に当てはまるものであり、モデルルームを見て気に入ったというような場合で、管理費等が高いと感じる物件であるとします。

しかし、管理内容を見直せとか共用施設を削れとかは要求できないわけです。買い手に選択権があるとしたら、間取りプランやカラーバリエーションのチョイス、設備機器や床の仕上げ材のオプションくらいまでです。

共用施設と管理内容は買い手には選べないのです。どうしても気に入らないのであれば、管理内容だけなら、入居後に組合活動を通じて変更を実現するほかありません。

残念ながら、共用施設と管理サービスを優先してマンションを選ぶというのはほぼ不可能です。

しかし、それらがマンションの付加価値になると確信できれば、むしろ歓迎すべきものと考えられましょう。

簡単に結論づけると、管理費等が他のマンションより毎月1万円高い物件であっても、10年後に120万円高く売ることが可能なものなら問題は小さいはずです。


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バス便の大規模マンションってどうなの?

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


300戸を超える規模と様々な付加価値を持つマンションだが、交通便がよいとは言えないバス便マンション。郊外部では、年に1件程度販売されることがあります。

筆者の手元の記録を紐解いてみると、最近数年間では下記のような物件があります。

今日は、これらの「バス便の大型マンション」についてお話ししたいと思います。


●大型バス便マンションの実例

竣工時期の古い順に、それぞれの特徴を簡単に紹介します。

➀千葉県浦安市「プラウド新浦安パームコート550戸(バス8分)」平成23年1月竣工済み/野村不動産:完売
 
綺麗に整備された、まるで南国のリゾートタウンといった雰囲気を醸す特異な街、それが新浦安で、国土交通省が選ぶ「都市景観100選」にも選ばれたほど美しい景観を持っています。西隣の「舞浜」駅は、ご存知ディズニーランドがあります。

ここには複数のマンションデベロッパーが妍を競って建設した大型物件が多数並びます。平成17年竣工の「パークシティグランデ新浦安(バス10分)」もプラウドと同じ550戸の大規模物件で、人気マンションとして有名です。

湾岸道路の南側を京葉線が走り、「新浦安」駅が開設されましたが、プラウド新浦安パームコートは、最も南の「ベイエリア」に位置し、駅からバスを利用するほかない場所にあります。



②千葉市美浜区「THE 幕張 BAYFRONT TOWER&RESIDENCE 308戸(京葉線・海浜幕張より徒歩21分)」平成27年8月竣工済み/三井不動産レジデンシャルほか:完売

この物件は「幕張ベイタウン」と呼ばれる、海浜幕張駅(JR京葉線)を最寄りとするニュータウンの中にあります。

千葉県のHPを見ると、幕張ベイタウンは、21世紀の国際業務都市を目指す新都心にふさわしい、魅力的な都市デザインと新しい時代の社会的ニーズやライフスタイルに対応した快適な居住環境の実現を目指して(中略)、住棟を街路沿いに配列した沿道型建築とし、街のにぎわいを創出するため、建物の低層部に商業・業務系施設を配置しています。

幕張ベイタウンでは、1995年3月に入居が開始されてから、今までに9,400戸が供給され、約25,400人が住む街になっています。(2015年11月末現在)

幕張ベイタウンでは、ヨーロッパ風のデザインに統一され、街全体の調和をとりつつ、それぞれの街区に個性的で色鮮やかなデザインを採用しています。特徴的な点は、街区の中央に憩いのスペースとなるパティオ(中庭)を設けたヨーロッパスタイルの住宅です。

幕張ベイタウンの街区は駅から徒歩5分程度と近いものから、徒歩20分もかかるものまでありますが、パティオス1 ~ 22番街、グランパティオス公園東の街、グランパティオス公園西の街などの街区が形成されています。

幕張ベイタウンには何度も訪問した経験を持つ筆者ですが、ここは本当に日本なのかと感じるほどの街並みと景観で、初めての人ならきっと感動することでしょう。

「THE 幕張 BAYFRONT TOWER&RESIDENCE」は、駅から最も遠い位置にるためか、販売には多少苦労したと聞いていますが、竣工時までに完売しています。

➂東京都武蔵野市「パークシティ武蔵野桜堤405戸(武蔵境よりバス10分)」平成24年3月竣工済み/三井不動産レジデンシャル:完売

豊かな緑に囲まれた25,700㎡の敷地にゆったりと建った6棟。水音の庭、集いの庭、静寂の庭、夏の庭などの憩いのスペースがあります。バーベキューコーナー、キッチンスタジオ、ゲストルーム、フィットネススタジオ、ライブラリー、コンシェルジュサービスなどの共用設備があります。


④東京都調布市「グランドメゾン仙川305戸(徒歩19分)」平成28年6月竣工予定/積水ハウス:竣工前完売

物件のHPには、「豊かな自然と一体となり、 スローでスマートな暮らしを実現する全305戸の大規模レジデンス」とあります。4階~8階建て8棟の団地型開発ですが、隣接に広大な緑地があり、環境の良さを売りにした物件でした。

京王線と南をほぼ並行して走る小田急線。その中間に立地しますが、京王線の「仙川」からのアプローチ以外に、小田急線の「成城学園」からもバスが出ています。


➄東京都調布市「パークホームズ調布桜堤通り325戸(バス7分)」平成28年7月竣工予定/三井不動産レジデンシャル・・・販売中

物件HPによれば、「多摩川の潤いと緑を身近に、調布駅へのアクセスも快適なのが<パークホームズ調布桜堤通り>の魅力のひとつです。物件から徒歩1分(約50m)の「日活撮影所」バス停から、「調布」駅へは約7分。朝8時台は約6分~約7分おきに運行しているので、スムーズにアクセスが可能です。きらめく水面や富士山を眺める開放感、広大な河川敷。春は桜、夏は花火、休日には水と触れ合う――。多摩川の自然が、心豊かな暮らしを与えてくれるでしょう」とあります。

共用施設が充実しているのが売りで、グランドラウンジや、青山ブックセンターと提携し、毎月定期購読書誌が更新される、ライブラリーラウンジなど複数のラウンジを設置しているとありますが、三井不動産レジデンシャルの他の大型物件に比べると物足りなさが残る印象です。


⑥東京都小平市「シティテラス小金井公園922戸(武蔵小金井バス6分)」平成30年1月竣工予定/住友不動産・・・近日発売

この物件は、西武新宿線「花小金井」駅からも徒歩8分でアプローチできる位置にあるのですが、人気・需要の面で中央線が西武線より上と見た売主は、バス便を承知で中央線・武蔵小金井駅を前面にアピールしています。

今日のブログのテーマの援用に丁度いいので、バス便物件として取り上げることとしました。

物件からほど近い((約670m・徒歩9分)小金井公園について、物件HPは次のように紹介しています。

「小金井公園は日比谷公園の約4.9倍、上野公園の約1.5倍の広大な面積を誇る大型都立公園です。玉川上水沿いにあって、広々とした草地や雑木林、桜の園、子ども広場、弓道場、テニスコートなど、豊かな自然とスポーツ施設などが一体となっています。雑木林は武蔵野の面影を残し、野鳥の楽園「バードサンクチュアリ」として、四季を通じ多くの野鳥が飛来します。
広大な草地広場は、ピクニックや子どもの遊び場であり、散策、ジョギングをする姿も見受けられます」

また、「シティテラス小金井公園の敷地北側には約3,600m²の(仮称)ウィズパーク(提供公園)が計画されています。その広さはテニスコート約18面分。ケヤキや桜の既存樹を活かしながら、子ども広場のスペースにはクライム遊具、スイング遊具、マウンテン遊具をご用意。テーブルセットやベンチもあり、子どもの遊び場としては十分な広さがあり、身近な子育ての場としてご利用いただけます」とあります。

さらに、「現地南側には約770mにわたり「第1種低層住居専用地域」があり、高い空の下、低層の家並みが続く開放的な風景が広がります」と環境の良さ、とりわけ子育て環境の素晴らしさをアピールしています。

「922家族のコミュニティを創造する多彩な共用施設&サービスが、快適・安心、楽しい毎日をサポート・・・3万㎡超を誇る敷地に、緑豊かな環境と呼応するやすらぎのレジデンスを創造する同物件。家族の暮らしを快適・安心、楽しく彩るのは、全922邸というスケールならではの充実した共用施設やサービス(以下)が魅力のポイント」とも語っています。

屋上ビューテラス ・ゲストルーム(2室) ・ライブラリー・シアタールーム兼カラオケルーム ・パーティラウンジ ・キッズルーム&ペアレンツサロンをはじめとした17の共用施設に加え、コンシェルジュサービスや24時間有人管理、専用シャトルバス等の便利なサービスも導入。


●バス便の大型マンション。その共通点とニーズ

ここに紹介した物件は「バス便・大型」の二つをキーワードとするものですが、他に共通点として次の5点を挙げることができます。

1)街並みの美しさ・緑の多さなど、環境がすばらしい

2)共用施設が充実している

3)管理サービスが細やか


ここまでは、先に述べた物件の紹介記事でお分かりいただけることと思います。

4)価格が安い

何を基準に安いというか、それは最寄り駅の徒歩圏マンションの相場と比べてのことですが、概ね20%くらいは安い価格で分譲されています。

これに、自然環境の良さや景観のすばらしさを持つロケーション価値と、建物(敷地内の共用空間のデザインを含む)の圧倒的な差別化策がもたらす付加価値を加味すると、交通便・買い物便等のマイナスも多分に相殺されてしまうのです。


5)広い専有面積の住戸タイプが多い

価格が安いということは、例えば駅前物件なら70㎡しか届かない予算で、バス便物件では80㎡以上の部屋に届いてしまうことを意味します。

広い部屋と美しい環境の中で、ゆったりと暮らしたいというニーズ、もしくは子供を自然の豊かな環境で育てたいというニーズにはぴったり合致するのです。


●それでもバス便マンションには見向きもしない人が多い

以上のような魅力に溢れたロケーションと付加価値の高い大型マンションですが、バス便と聞いただけで全く対象外と考える人が多いのは事実です。

人間は霞を食って生きて行くことはできないので、環境は大事といえども利便性を軽視できないからです。

自家用車で30分も走れば職場に着いてしまう小都市とは違い、東京圏ではどこに住んでも勤労者の平均的な予算では通勤時間が1時間から1時間半かかってしまうのが普通です。それだけに、時間のかかるバス便立地は避けたいのです。

郊外のバス通勤であっても、職場が最寄り駅の近辺にある人とか、駅で鉄道に乗り換えるにしても二駅以内の近さに職場があるといったふうに、都心通勤でない人なら抵抗も小さく、十分に魅力を感じるはずです。現に購入した人の大半は、その種の人なのです。

しかし、首都圏居住者の多くは東京都心へ通勤しています。その証拠に、通勤電車は2~3分おきに運行されているにも関わらず通勤時間帯は超満員です。

首都圏内での転勤がある企業に勤めている人も多数あります。そのような人は、支店・営業所のどこへ移動になっても不便にならない立地条件のマンションを取得しようとします。そのような人も、バス便マンションは考えにくいのです。

通勤に1時間半もかかる人は、時差通勤によって満員電車を避けたりしているかもしれませんが、帰宅が遅くなると困る人でもあります。遅くなったときタクシーで帰ることのできる都区内に住みたいと考えるのは交通費の問題だけでなく、睡眠時間を極力確保したいからという動機があるのです。

上級国家公務員の場合などでは、いざというとき直ちに役所へ駆けつけられる近場に住まなければならないようです。

2011年の大地震以来、いざというときに帰宅難民にならない距離に住みたいというニーズが増えて、ますます郊外のバス便マンションは不人気です。


●問題は将来の売却時にある

同じバス便マンションでも、大型の場合は不便さを補って余りある(?)付加価値の高い建物、すなわち専有面積の広さと共用施設の充実、管理サービスの細やかさ、価格の安さといった魅力があります。

そのおかげで、大規模=戸数の多さも克服し、さほどの期間を要することなく完売に至るものです。

しかし、その需要と供給のバランスは拮抗しており、都心の駅前マンションのような高い競争倍率で短期完売とは行かないことが多いのも現実です。

売り出し当初は「第1期・第2期、連続即日完売」などと誇らしげに広告で謳っても、やがてジリ貧となって、建物が竣工するくらいまで長い時間がかかってしまうケースも少なくないのです。

このような事実からも、バス便でもいいというニーズは多くないので、将来、中古マンションとして売却する際に、短期間で買い手が付くかという懸念を残します。

勿論、バス便マンション同士の比較になれば、大型で付加価値のある物件は買い手が付きやすいに違いありません。売れなくて売却を諦めるというようなこともないかもしれません。

とはいえ、賃貸は容易でないので、最後は価格を下げて買い手の要求を呑むということになりかねません。



●安く買ったのだから損失は小さいのでは?

「買い手が中々つかないとき、最終手段は売り出し価格、もしくは内見後の買い手からの要求に応じて売却価格を下げるということにするとしても、そもそも購入価格が安かったのだから損は小さくすむのでは?」—―このような考え方を取る人がいます。

実際はどうなのでしょうか? そもそも価格が安いということは、安くしなければ売れない、言い換えると、バス便マンションの販売成功条件は「安さ」にあるのです。そうしなければ目を向けてくれないことを意味しています。

買いたい人が多数あって、買い手同士で競争し合う状態が生まれるような駅前マンションなどは、価格は上方へ振れやすくなりますが、バス便マンションは逆です。

駅前マンションが100から転売時に90へ10%下がったというとき、バス便マンションは80で購入しても10%下の72では収まらないと考えなければならないのです。

勿論、例外もあります。 80で買ったバス便マンションが、転売時に80か85で売れることもないわけではありません。しかし、それは多分に幸運というほかありません。

同じバス便でも大型物件の方が値下がり率は低く、大型マンションの中でも周辺環境や買い物便が良いなどの差別感が明確な物件は値下がり率が低いのです。

しかし、分譲時の価格が市場全体で高値のときに買えば、付加価値が高い大型マンションであろうと、また、素晴らしい自然環境や街並みの中にあろうとも、売却の時期によっては値下がりが大きいということがあります。

結局のところ、購入マンションの魅力と欠点とを冷静に見極め、その価値に見合う価格かどうかという視点と、将来も高い競争力によって少ない需要の中から買い手を見つけられる物件かどうかという視点、このふたつによって選択の是非を判断することが重要なのです。


今日の話は、バス便マンションに限らない「マンション選び普遍の法則」を述べたことになるのかもしれません。


 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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